明倫商店街
味わい深い昭和レトロな雰囲気の商店街
近鉄宇治山田駅の目の前に位置し、昭和レトロな雰囲気が魅力的で、澤村榮治ゆかりの地でもある「明倫商店街」。
明倫商店街が出来上がったのは、まさに昭和の時代。
商店街完成当時から変わらず営業を続ける老舗店舗や、現在の商店街の味わい深い雰囲気に惹かれて新たに出店した新規の店舗も多数。
商店街全体としては店主の高齢化が進み、残念ながら空き店舗が増えてきている現状だが、「賑わいを再び取り戻したい」と出店を決意した方もいる。
スポット紹介
蜂蜜ぱんじゅう 松や 宇治山田駅前店
伊勢の昔からのおやつ「ぱんじゅう」は、半球状の生地に餡を入れて焼き上げる。
「蜂蜜ぱんじゅう 松や 宇治山田駅前店」では、中身を、こし餡・つぶ餡・黒糖餡・カスタードクリームの4種から選べる。
それぞれ1個税込70円と、とってもお手頃な価格。
注文後、目の前の鉄板でぱんじゅうを焼いてくれる。
生地の中にたっぷり餡が入っていく様子を見ているだけで、幸せな気分に浸れること間違いなし。
焼き立てのぱんじゅうを受け取ると、生地のあまい香りがふわりと漂う。
ぱくっと一口頬張れば、ふかふかの卵生地と、素朴な甘さの餡子が合わさって、ほっと安心する味わい。
甘すぎない餡で何個でもぱくぱく食べれてしまうため、6個入りなどまとめて買うのがお勧め。
〒516-0037
三重県伊勢市岩渕1丁目13−21
0596-23-8133
[営業時間]10:00-18:00
[定休日]水曜日
花よりだんご
伊勢で育ったオーナー川口美敬さんが、地元を盛り上げたいとオープンさせた「花よりだんご」。
明倫商店街の昭和レトロな雰囲気にマッチする店構えで、のれんをくぐると、昭和の時代にタイムスリップしたような気分が味わえる。
「古き良き昭和の時代のように、また少しずつ商店街が盛り上がってくると良いなと思っています。
周囲にも声をかけて、商店街内で5店舗出店を促すことができました。」と川口さん。
「昔ながらのお好み焼き屋さんは、自分で焼くスタイル。
私が学生の頃、店主に『こう焼くんだよ』と教えてもらい、ワイワイとコミュニケーションをとりながら楽しく過ごした思い出があります。
花よりだんごでも、心温まるコミュニケーションが生まれれば、とお客さんに焼いてもらうスタイルを採用しました。
しっかり寝かせた特製のタネを使っていますので、誰でもふんわり美味しく焼けます。」と川口さんは笑顔で話す。
ミックス玉(税込750円)は、表面はカリっとしていて、中はふんわりとした焼き上がり。
中華そばも、「昔ながら」にこだわって作っているそう(税込600円)。
程よくコクがあり出汁が効いた醤油ベースのスープで、飽きの来ない味。歯ごたえのよいモヤシや、よく味のしみた柔らかいチャーシューがアクセントになっている。
かまぼこ、なると、青ネギが彩りを添えて「これぞ、昔ながらの中華そば」という盛り付けも魅力的だ。
学生時代、お好み焼きと一緒に伊勢うどんや、中華そばも食べた記憶がある、という川口さん。
お好み焼き屋に伊勢うどんとは、なんとも伊勢らしい組み合わせ。もちろん伊勢うどんも、花よりだんごで注文可能。
川口さん「昔懐かしい雰囲気とメニューを味わいに来てもらえたら幸いです」
〒516-0037
三重県伊勢市岩渕1丁目14−10
0596-68-9004
[営業時間]12:00-21:00
[定休日]不定休
明倫商店街の魅力・歴史について
ここからは、伊勢明倫商店街協同組合 理事長の乾正治さんにお話を伺った。
日本プロ野球界の伝説「澤村榮治」
澤村榮治は三重県伊勢市出身のプロ野球投手であり、巨人軍にて通算63勝するなど大活躍した日本プロ野球界の伝説的な選手。
しかし、惜しくも1944年の太平洋戦争にて27歳の若さで戦死。
澤村の功績を称え、優秀な投手に贈る「澤村賞」が制定されるなど、後世にも大きな影響を与えた人物である。
「明倫商店街すぐそばには澤村榮治さんの生家があり、跡地には全国から沢山の方が訪れています。
澤村榮治さんは地域の人々から今なお愛されており、地元伊勢で過ごした様子などが、地域内で語り継がれています。」
商店街内には澤村榮治が残した「人に負けるな どんな仕事をしても勝て しかし 堂々とだ」という言葉を刻んだ【全力石】が設置されている。
また全力石の付近には、澤村榮治にまつわる資料なども展示されているので、是非一度足を運んでみてほしい。
「古墳が埋まっていたかも…」
商店街一帯の土地の歴史
「この商店街の下には、古墳が埋まっている、という言い伝えがあります。
箕曲七塚古墳(みのわななつかこふん)というもので、商店街の一部の通路や、古い側溝の部分はお堀だったと言われています。」
天明7(1787)年に記された『宮川雑記』では「箕曲ノ北ノ方ヨリ横町ノ東ニ至リ塚七ツアリ、之ヲ七塚ト云」と記載があるが、その続きに「二十年前マテハ七墳アリシカ自然ト崩損シテ今ハ四箇ニナレリ、此後廿年ヲ経タラハ減損スヘシ」とある。
『伊勢市史』によると塚とされる土地から古墳時代の遺物が出土したかどうかは不明。そのため確実に「古墳があった」とは言えない。
ただ、言い伝えが昔の書物に記されている事実はあるため、「実は埋まっているのかもしれない」とついつい期待を抱いてしまう。
箕曲七塚古墳と同じ「箕曲」の名がつく「箕曲中松原神社(みのなかまつばらじんじゃ)」は、明倫商店街の真横に位置する神社。
平成6年2月 (財)伊勢文化会議所発行の『お伊勢さんへの道』によると、
【みの】というのは、土地の古名「美乃」「美野」あるいは、勢田川の流れが曲がるところを指す「水曲(みのわ)」が「箕曲(みの)」に由来していると言われている。
古墳や土地の古名など古くからの言い伝えを知り、昔この地域にあったものを思い浮かべてみると、今見えている情景にも深みが増すようだ。
昭和の頃の、賑わいあふれる記憶
乾さん「昭和21(1946)年頃に神都公会堂(現在の伊勢観光文化会館)周辺に商店街が形成されはじめ、翌年6月に明倫商店街協同組合として法人化がなされました。
戦後の生活物資購入の場として栄え、昭和30~50年頃になると、人がすれ違えないほど賑わっていた記憶があります。」
「商店街が出来上がったばかりのころから今に至るまで営業を続けている店舗も多数あります。
例えば、【明倫宮下青果】【坂田魚店】衣料品の【丸徳商店】と【まるみや】【アサヒヤ】の3店舗、乾物の【林屋】、理美容の【ユタカ】、靴店の【樋口履物店】などですね。」
レトロな雰囲気に惹かれ
「今は残念ながら空き店舗が増え、シャッターが降りている光景が目立つようになってきてしまいましたが、そんな中でも、レトロな雰囲気に惹かれて、お客さんや出店希望者の方が商店街を訪れてくれます。
また、コロナ禍でなかなか開催できませんが、明倫地区まちづくり協議会の方々が主となり、明倫商店街で音楽ライブなどイベントを開催しています。
これからも地域の皆さんと共に、商店街の賑わいを作り出す工夫を続けていきたいと思います。」
明倫商店街のアクセス情報
三重県伊勢市岩渕
近鉄宇治山田駅より徒歩1分