外宮参道
鳥居から続くその道の先は
「外宮参道」は古くから伊勢神宮参拝者の鳥居前町として栄えた参道。
伊勢市駅(JR)側を降りてすぐ目の前、鳥居から外宮までまっすぐ伸びる通り沿いには、百年以上続く風情ある老舗から、最近できたばかりのお洒落なお店まで、魅力的な店舗が立ち並んでいる。
今回の記事では、味わいある老舗や、愛され続ける人気店、近年オープンしたばかりの新店舗について、それぞれご紹介。
スポット紹介
伊勢 菊一
「伊勢 菊一」は、明治40(1907)年創業の打刃物店「菊一文字金近本店」を改装し、平成23(2011)年に外宮の文化を発信する観光交流拠点としてリニューアルされた施設。
取扱商品は、職人の技が光る打刃物、オリジナルの伊勢勾玉、神宮関連書籍、若手作家の工芸品など、伊勢をはじめとする日本の伝統・文化・歴史に通ずる魅力的なものばかり。
高い品質を誇る和包丁は、家庭用から、職人用まで幅広い品揃え。
例えば、文化包丁は3枚の金属を重ねて鋳造されており「30年前に嫁入り道具で購入し、まだ使っている」と研ぎ依頼にやってくるお客さんもいるほど、丈夫で長持ちする造りになっている。
手仕事で丁寧に作り上げた包丁以外にも、化粧鋏にキッチン鋏、爪切り、卸金などの生活道具も揃っている。
伊勢 菊一店舗内や、向かいにある伊勢菊一 金近では、若手作家たちが制作した「伊勢根付」や「伊勢一刀彫」 「伊勢型紙」「漆芸」など金近だけのオリジナルの伝統工芸品が展示・販売されている。
【伊勢菊一】
〒516-0074
三重県伊勢市本町18−18
0596-28-4933
[営業時間]9:00-17:00
[定休日]年中無休
【伊勢菊一 金近】
〒516-0074
三重県伊勢市本町6−4 シャレオサエキビル2F
0596-63-5410
[営業時間]10:00-18:00
[定休日]水曜日
WEB Site/Facebook/Instagram
お伊勢参りcafé 参道TERRACE
「参道TERRACE」は心を「照らす」ことと、人が憩う「テラス」をかけて名付けられたカフェ。
日差しが暖かく差し込む店内は、心をほっと落ち着けてくれる。
炭火焙煎された豆を使用し、1杯1杯丁寧に淹れるハンドドリップコーヒーや、長時間かけて抽出された、まろやかな水出し珈琲を楽しむことができる。
カステラは、隣接する高級温泉旅館「伊勢神泉」の総料理長が伊勢志摩の食材にこだわり監修したもので、
プレーンの他、伊勢茶やチョコなど、様々なテイストが用意されている。
「伊勢茶カステラ」(税込200円)は、伊勢茶の香りと、ほろにがい味わい、
そして、底ににちりばめられた白鹿の子豆のほんのりした甘みが絶妙にマッチした、大人のスイーツ。「ぱ~るかすていら」(税込200円)には伊勢志摩特産のアコヤ貝真珠パウダーが贅沢に使用されており、上質な風味が特徴。
こだわりのカステラと、コクのあるコーヒー(Mサイズ税込450円/Lサイズ税込500円)の組み合わせで、一息ついてみてはどうだろうか。
〒516-0074
三重県伊勢市本町1
0596-65-6419
[営業時間]10:00-18:00 土日祝9:00-19:00
[定休日]年中無休
WEB Site(伊勢外宮参道 伊勢神泉:Facebook/Instagram)
パン屋 麦
2021年9月にオープンした「パン屋 麦」。
「シンプルで素朴なお食事パン」として、食パンやフォカッチャ、カンパーニュなど、食卓にぴったりなパンが取り揃えられている。
その時々でホットドッグ、クロックムッシュ、サンドウィッチなどのパンや、総菜、ライ麦を使ったザクザク系のグラノーラなどもあり、「今日はどんな商品があるかな?」といく度に、ワクワクさせてもらえる。
食卓に並べるだけで気分が上がる可愛らしいフォルムのパンは、飽きの来ない味わいで、毎日でもリピートしたくなる。
〒516-0074
三重県伊勢市本町13−6
0596-24-2983
[営業時間]11:00-18:00(売り切れまで)
[定休日]火曜・水曜日
EC Site/Instagram
BUD PALMS(バッドパームス)
登山用品やサーフグッズ、ライフスタイルウェアなどを取り扱うアウトドアショップ「BUD PALMS」。
豊富な品ぞろえも魅力だが、専門知識豊富なスタッフのアドバイスを受けることができ、しっかり商品を吟味して購入できるのも、また魅力の一つ。
初心者にもやさしく丁寧にアドバイスをしてくれるため、初めての山登り、アウトドアで不安な方は是非一度訪れてみてほしい。
〒516-0074
三重県伊勢市本町6−4 1F シャレオサエキ
0596-23-0028
[営業時間]10:00-20:00
[定休日]年中無休 (1月1日のみお休み)
WEB Site/Facebook/Twitter/Instagram
外宮参道の魅力・歴史について
ここからは、
「BUD PALMS」代表であり、外宮参道発展会の会長でもある山本 武士さんに、外宮参道の魅力についてお話を伺った。
外宮とのつながりについて考える
「外宮参道周辺は明治時代、【日本三大旅館街】の1つとされるほど、沿道に多くの旅館が立ち並んだ歴史があります。
BUD PALMSが入っている【シャレオ・サエキ】ビルには、もともと御師の佐伯太夫から継承した老舗旅館【佐伯館】があり、私は佐伯館の長男として誕生しました。
そういった家系にも関わらず『なぜ全国から多くの方が伊勢神宮にお参りくるのだろう?』と、もともとは思っていました。
会長になったのをきっかけに、その『なぜ?』を突き詰めていった結果、私は、日本人にとっての神宮の大切さに気付きました。
倭姫命(やまとひめのみこと)が、いくつかの土地を巡り、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の神勅によって、神宮をここに作ると決めた…ということは、どこよりも『気』の良い場所だったんだろうと思います。
ですが、かつての外宮参道は『神宮の、特に外宮の偉大さ、大切さ』についての理解が浸透していなかったために、まちの宝である外宮を中心としたまちづくりがなされてなく、訪れる人も少なくなり、賑わいが失われ、衰退の道をたどることになってしまいました。
まちづくりというのは、『自分たちが誇れるものは何なのか?』を見つけ出すことだと思っています。
『人が沢山訪れて財布が潤う』ことも大切ですが、それだけでなく『まちの人たちがみんな幸せそうに過ごしていて、周りから羨ましがられる』という状況づくりも大切だと、私は考えています。
『このまち、いいね』と言われたら60点、『また来たい』と言われたら80点、『住みたい』と言われたら100点。ここまで目指したいところですね。
私は『外宮参道を、神宮参拝者を受け入れる鳥居前町として、ふさわしい町にしていかなければならない』という思いを持って、外宮参道発展会としての発信や講演、外宮を盛り上げる取組を行ってきました。
そして神宮が博物館【せんぐう館】を、目的の一つとして『外宮周辺を盛り上げよう』と、内宮ではなく外宮に作ってくださったのは、とても心強く、励みになりました。」
伊勢市駅前の鳥居はご神木で出来ている
「伊勢市駅前の鳥居は2013年に出来上がったのですが、それまでは、伊勢市駅を出てすぐ目の前を車道が通っており、あまり良い景観ではありませんでした。
通りも大きな常夜灯が一本立っているだけのさみしい状態で、観光客の方に『外宮はどちらにありますか?』と聞かれることもしばしばあったんです。
伊勢市駅から降り立ち、鳥居をくぐると少し空気感が変わって、『ここは神宮のあるまち、神都なんだ』と体感してもらえると良いですよね。
そこで、【伊勢市駅前広場鳥居建立委員会】を設立し、行政や商工会議所、外宮参道が加わって、鳥居設置のための基金を募りました。
そして何よりも神宮が趣旨にご賛同していただいたことで、ご神木を使って鳥居を立てることができたんです。」
伊勢和紙行灯とメッセージ
「外宮のご祭神・豊受大御神(とようけのおおみかみ)は、実は日本書記には出てこず、古事記では天孫降臨のメンバー紹介の時のみの登場で、謎が多い神様なんです。
ではなぜ、その豊受大御神が外宮の正宮に祀られるほどの各式高い神様だとされているのでしょうか?
それは、外宮で1,500年間毎日続けられてきた【日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)】の役割があるからなんです。
日別朝夕大御饌祭では『神様に食事をたてまつる』のですが、毎日感謝の祈りを奉げるこの神事は、自給自足の環境を守ることにも繋がっています。
このお祭りこそ、かけがえのない外宮の存在価値なのでしょう。
【伊勢和紙行灯】は、今や外宮参道のシンボル的存在。
作ったきっかけは日別朝夕大御饌祭を知ってもらいたい、という思いからでした。
外宮への尊崇と日別朝夕大御饌祭への感謝の気持ちを、伊勢和紙行灯を毎日灯すことで表現しています。
この行灯は縁あって、著名な和紙作家の堀木エリ子さんにデザインと監修を依頼することができました。
また手すきの和紙は、神宮の神札にも使われている地元の【伊勢和紙】を使用しました。
また、4層の手すき和紙で作られており、手すきの際に気泡をひとつひとつ消して行く作業など、職人技が光る素晴らしいものになりました。
デザインには、内宮のご祭神・天照大御神が地上に光を照らし、そのご神威が波紋のように広がるさまが描かれいます。波紋は明るい部分と影の部分が交互に現れます。影は豊受大御神のご神威を感じます。伊勢和紙行灯を通じてそれぞれの神様の関係性を表し、『内宮さんだけでなく、外宮さんへも是非お参りください』というメッセージが込められているのです。」
外宮参道のアクセス情報
〒516-0074
三重県伊勢市本町
電車:JR・近鉄「伊勢市駅」より、JR側改札おりてすぐ
車:伊勢自動車道「伊勢西IC」より約5分
WEB Site/Instagram