神路通
神の通うみち
神路通は、伊勢神宮外宮の北御門から続く裏参道と、月夜見宮(つきよみのみや)を結ぶ300メートルの道。
月夜見宮のご祭神である月夜見尊(つきよみのみこと)が、外宮のご祭神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)のところへ通ったという神話から「神路通」という名がつけられた。
月夜見尊は夜になると、杖をひとふりして宮の石垣の一つを白馬に変え、その背中に乗って豊受大御神のもとへ通われる。
そのため「人々が夜に神路通を通るときは、神様に出会わないよう畏れつつしみ、道の真ん中を避け端を通った」という言い伝えもあるそう。
実際に神路通に立ち、古くから伝わる神話に思いを馳せてみると、景色に深みが増すようだ。
また、まっすぐ伸びる神路通沿いには、小学校やまちの人々が通う飲食店、家々が立ち並んでおり、この地に住まう人の「今」が見える。
今回の記事では、神話の世界と今の世界が溶け合った神路通の魅力について紹介する。
スポット紹介
月夜見宮(つきよみのみや)
月夜見宮は、伊勢神宮 外宮の別宮にあたり、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の弟神、月夜見尊(つきよみのみこと)がご祭神として祀られている。
宮域には、クスやケヤキ、スギなど、たくさんの木々が茂っている。
手水舎の横にそびえ立つひときわ大きいクスは、樹齢数百年にもなるそう。
風が吹くとサワサワと葉がこすれる音が心地よく、木漏れ日が足元に降り注いで、参拝に訪れた人々の心をすっと落ち着けてくれる。
〒516-0072
三重県伊勢市宮後1丁目3−19
0596-24-1111(神宮司庁)
[営業時間]1月・2月・3月・4月・9月 5:00~18:00/5月・6月・7月・8月 5:00~19:00/10月・11月・12月 5:00~17:00
shokudo & cafe osse
osseは管理栄養士の資格を持つ店主(妹・奥山奈津子さん)と、スイーツ担当(姉・知佳子さん)の2人が営む食堂&カフェ。
お客さんにとっての「いつも」に寄り添う場所でありたいと、体に優しいメニューや、心がほぐれる暖かい空間が魅力。
「今日のごはん」(税込1,000円)は、肉や魚のメインとなるおかずに、野菜中心の小鉢2・3品と、「いろいろ米」ごはん、味噌汁がついてくる。
今回のメインは「鶏とお出汁をたっぷり含んだ車麩のたまごとじ」。
その名の通り出汁たっぷりの車麩と、ふわふわ卵、旨味のある鶏肉が三つ葉や海苔と絡んで、どんどんごはんがすすむ。
ごはんは、栃木で生産された無農薬の古代米・希少米・黒米など約50種類が入った「いろいろ米」に、三重県産のお米を混ぜて炊いたもの。
バランスの整った美味しいメニューで、体へも心へも栄養が行き届いていく。
「来てくださった方に日々楽しんでもらえるよう、具材には出来るだけ季節のものを取り入ています。
そこから生まれるコミュニケーションも醍醐味かも。
お客さんから『●●を使ってたよね!』と具材に気づいて声をかけてもらえると、とても嬉しいですね。
『どういう風に作るの?』と聞いてくださる方には、ご自宅でも作れるレシピをお伝えすることもあります。
楽しく健康になってもらえたら本望です」と店主・ 奈津子さんが話してくださった。
数あるスイーツの中でも、ミニパフェは、スイーツ担当の知佳子さんのこだわりがふんだんに詰め込まれた逸品。
季節によってパフェの中身と価格は随時変わる。
今回ご紹介する「新春ミニパフェ」(税込850円)は、
甘酒アイスクリームに柚あん、金柑コンポート、伊勢紅茶の寒天など、10種類以上ものこだわり具材が使用されている。
「もともとコンポートや、あんなど、細かな甘味を作るのが得意で、それらを組み合わせて美味しく食べてもらえるパフェを提供しようとはじめたのがきっかけです。
スイーツ類も定食と同様に毎日でも食べられるよう、体に優しい素材を使用し、甘すぎずさっぱり食べられる味付けを心掛けています」と知佳子さん。
奈津子さん「神路通沿いにある厚生小学校は私たちの母校なんです。不動産屋さんから現在のお店の物件を紹介してもらい、縁を感じて即決しました。
近所の方がふらっとコーヒーを飲みに来たり、親子で笑顔でワイワイ楽しそうに定食を食べていたり、ご夫婦が静かにゆっくりと時間を過ごしていたり。
私たち姉妹にとって馴染み深い神路通りで、沢山の方が思い思いの形で楽しむ様子を見ていると、しみじみ嬉しい気持ちになりますね。」
〒516-0075
三重県伊勢市一志町3−6
0596-68-9149
[営業時間]11:30~19:00(18:00LO)
[定休日]木曜日・金曜日※臨時休業あり
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神路通の歴史・魅力
ここからは、
「神路通の会」の寺田さんに神路通の歴史と魅力について、お話を伺った。
神路通にまつわる言い伝え
「『人々が夜に神路通を通るときは、神様に出会わないよう畏れつつしみ、道の真ん中を避け端を通った』という言い伝えがあり、現在整備された道路の真ん中には線が一本引かれています。
また、『夜、神路通で神様の足音を聞きました』と話すお年寄りがいらっしゃったり、
『神様が通る道の両側に面する箇所に不浄のものである厠(かわや)を造らないように』という言い伝えなどもあったそうです。
それだけ、住民たちにとって、神路通や伊勢神宮にまつわる神話への関心が強かったということですね。」
神話や歴史を学び伝える「神路通の会」
「平成に入り、神路通にまつわる言い伝えを後世にも受け継いでいこうと【神路通の会】が発足しました。
月夜見宮の神職にお話を伺ったり、神話に関係する奈良や岐阜に学びに行くなどして、神話や民話への造詣を深めました。
また、これは現在も続いている取り組みですが、
神路通に面した家々に通りの名が書かれた提灯や看板をつるし、通りにお花を植えたりして、神路通を盛り上げています。
また、大みそかには提灯にそれぞれ明かりを灯しています。
しかし、残念ながら【神路通の会】メンバーの高齢化が進み、思うように活動できない状況になってきました。
途絶えることのないよう、若い世代にも参加してもらいたいと考えているところです。」
神路通の魅力
「神路通りの魅力は何といっても『神話、民話について知るきっかけとなる場所』であることだと思います。
観光に訪れた方が、伊勢神宮 外宮と月夜見宮を行き来する際にこの通りを歩き、【神路通】と書かれた案内看板をじっくり見る、という姿よく見かけます。
静かで趣ある神路通を、ぜひゆっくり歩いてみてください。」
神路通りのアクセス情報
〒516-0075
三重県伊勢市宮後1丁目10